2012年6月24日日曜日

iJAMP連載 ~首長コラム №7~

〇時事通信iJAMPで首長コラム連載中!
〇安田 公寛  熊本県天草市長のコラム
(2012年6月21日配信時事通信社iJAMPより)

★職員は地域のけん引役に
 熊本県天草市長・安田公寛

 熊本県天草市は、2006年3月27日に2市8町という広域合併によって誕生しました。
 私は天草市の初代市長として、職員の皆さんに、地域に足を運び市民の皆さまとの対話によって地域のニーズをつかんでほしいということを申し上げてきました。これは決して御用聞きということではなく、市民の皆さまの声に耳を傾け、そのなかで市として取り組むべき課題を把握し、政策を計画し、実現に向けてともに歩んでいくスタイルだと感じています。
 天草市では合併当初から小学校区や、行政区を単位とした51の地区振興会組織を立ち上げていただいておりまして、すべての振興会に担当の市職員を配置しています。各地区ではそれぞれの地域の皆さまが中心となって、特色ある事業が行われています。市民との協働によるまちづくりを進めておりますが、それぞれの地域では出身者である職員も地域の一員として、さまざまなアイデアを出し、共に課題解決に向け頑張っていると感謝しているところです。
 少子・高齢化、人口減少時代に最も必要なことは人材の確保そして育成であると思います。
 11年度、「天草の宝となる人財育成プロジェクト」をスタートさせたほか、さまざまなプロジェクトチームを発足させました。プロジェクトチームの役割は、決して行政内部の調整役ではありません。いかに市民の皆さまとともにプロジェクトを進めていくかがカギです。
 そのためには、現場へ何度も足を運び、市民の皆さまの声を聞いていただきたいと思います。天草市は広域のため、行政との距離が遠くなったと言われます。しかし、本当に必要なことは、市民の皆さまが何を思い、何を課題と感じているのかに「気づき」それを政策というかたちで「描き」、実現してこそ信頼関係は生まれるものと思っています。
 行政と市民の心の距離はいつも近くにある。こうした気持ちを持っていただくのは、やはり信頼関係に他ならないと思っています。
 信頼は築くのは大変難しく、時間もかかりますが、公務員が地域へ飛び出し市民の皆さまと共に汗をかき、地域活性化、課題解決のため、時間を共有することが第一歩であると信じています。何よりも、自らが意識を変えることで、周りの皆を変えることができるのです。
 公務員が変われば市民が変わる、市民が変われば地域が変わる。時代を切り開く開拓者精神の志をもって積極的に地域に飛び出していただき、けん引役となる職員がますます増えることを期待しています。(了)

(2012年6月21日)

安田公寛(やすだ・きみひろ)氏のプロフィル
 1949年生まれ。熊本大学法文学部卒業、駒沢大学大学院修士課程修了後、旧本渡市教育委員長を経て、2000年4月より旧本渡市長を務める。06年3月、天草市が誕生し、同年4月初代天草市長に就任、現在2期目。天草広域連合長、財団法人熊本県市町村振興協会理事長、11年4月から熊本県市長会会長にも就任。

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